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都営文京真砂アパート

2008-09-05 Fri

根津界隈シリーズ、第29話。前回書いたアトラスタワーに関連して、そのアトラスタワーの斜め向いに建つ都営文京真砂アパートの話。

アトラスタワーの斜め向い約200mに都営文京真砂アパートがある。アトラスタワーより都心側に位地し白山通りと春日通りの春日町交差点脇に建つ。都営地下鉄三田線春日駅の真上だ。11階建てで1階には公設市場という名の商店街、2階から4階までが文京区の施設となっている。

春日町の交差点に建つ文京真砂アパート

建設は1967年昭和42年だから築41年。昭和42年と言えば東京オリンピックの3年後で、東京は本格的な高度成長を始めたばかりの発展途上にあった。

このころはサラリーマン向けの住宅が不足していた。自治体が住宅を提供する役目を負った。都心近郊には団地が建設され始めた。真砂近辺は戦前から公営住宅があり、都はこの地に既にあった公設市場の上に高層アパートを建てることを決める。

高度成長を迎え周囲が発展していくなか、真砂アパートは昭和42年のまま時間を止める。周囲の住環境が発展していくなか、住宅としての価値は相対的に低下していく。それでも鉄筋コンクリート製の建造物だから壊さない限り建ち続ける。老朽化が容赦なく進む。

一方、アトラスタワーの住居の分譲価格は広さ部屋数にもよるが数千万円以上が相場だ。人気物件なので空きはあまり出ない。出ると数千万円の価格がつく。

分譲価格数千万円の住居が入るアトラスタワーの斜め向いに建つ、築41年11階家賃数万円、老朽化が進む都営高層アパートをどう考えればいいのだろう。


考え方はいくつかあるだろう。

その1。このまま現状維持していく。1人暮らしのお年寄りも多数住む。買物も便利だ。空きが生じれば新規の募集行なう。現状維持ならそれほど経費もかからない。

その2。周囲の住環境と合致するよう景観や設備を積極的に改修し、今後も発展的に使用していく。経費は大幅に増す。公営だから家賃に転嫁して解決することはできない。

その3。低所得者層向けアパートとして新たに建て直す。周囲の環境にできるだけ溶け込むような建造物にする。建物の目的が変わらないから基本的には家賃も変えない。莫大な費用がかかる。

その4。撤去する。この地に低所得者層向け公営住宅が存在し続ける理由はない。この都営住宅は過去40年間で役割を全うした。住人にストレスがかからないようこの建造物を撤去して、ここに新しい空間を造る。


家賃補助が必要な世帯や1人暮らしのお年寄りが安く暮らせる住環境は、自治体が供給するしか方法はないだろうが、問題は立地だ。この地にこの形で存続させる必要があるのだろうか。

この地にあって住民が得ているメリットとこの地に違う空間を作って得られる周囲のメリットのどちらが大きいか。街にとって全体最適は何かを判断するべきだと思う。

左上に見えるのがアトラスタワー

斜め向いの木造密集地域がアトラスタワー再開発で生まれ変わった。

小石川1丁目周辺はかつて行なわれた地上げのせいで住宅地は虫食い状態になり、有効な土地活用ができない状態が続いた。しかし土地の権利関係が整理調整されアトラスタワーが出現した。これをきっかけに潜在していた地域の付加価値が上昇し、高価格高層マンションが出現する地域に生まれ変わった。

一方でこの都営住宅は40年間にわたり家賃補助が必要な人々に住居を供給し続けてきた。その間に東京が発展した。ここは数千万円の価格のつくマンションが建つ場所に変わった。家賃数万円で住むところではなくなった。ただそれだけのことなのだ。

周囲の環境が変化したにもかかわらず自治体が住宅補助を行なうことは、補助のないところに住むものとの間にやるせない不公平感を醸し出す。

住む者だけの問題ではない。環境に馴染まない建造物は周辺の発展を妨げる。街全体の発展の勢いを押えてしまう。アトラスタワーの出現によって小石川1丁目周辺は発展する。この勢いを止めるべきではない。残念ながら都営文京真砂アパートはその勢いを止めている。

都はこのアパートの再開発を民間デベロッパーに委ねるか、あるいは居住にこだわらない空間に変えればいい。通常の再開発に比べればコストは最小で済む。住人の他所への再入居に最大限傾注すればいい。

したがって結論は上記のその4、撤去だ。そう思う。

近くに建つ本郷1丁目アパート、冨坂にある後楽園第一、第二アパートも同様だ。この問題は都心のあちこちで発生している。発展した都心にあって周囲の環境に溶け込まず、しかも周囲の発展を妨げてしまう老朽化都営アパートは、撤去して跡地を都市再生に活かすべきだと思う。

低所得者向けの公営住宅は都心ではなく、近郊の既存都営住宅を活用すればよい。


都市の建造物は適材適所に配置・構成されるべきだし、それが都市の全体最適を実現するのだと思う。そして都市は成長する。そのためには新陳代謝が必要となる。これは必然だと思う。

なんだか組織と個人の関係と同じに思える。役割を終えて去る者は寂しい限りだが、後進に潔く道を譲ればいい。

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